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◆そのジャムは鮮やかな夜と白薔薇で出来ている ねえ、悲しい愛の味がするでしょう? (ざらめ) まるで気がふれたような食卓だとお前は言った (ひなせ) 遺書とサカナの憂鬱は冷凍庫にしまっておいで (モヴ) 色鮮やかなゼラチンの中に、殺意と恋心のフロマージュ (終琉) 美食家はモーヴピンクの唇を欲す (詩緒) 早すぎた彼女の告解 (千春橙) 『おまえはつみびとなのである』と狂気はぼくを射止めた (夜) 怖がって・ぼくは此処よ (野中) 猫背なあなたが死んだのは空が菫色に染まる頃でしたね (ざらめ) ねえもう煤けた? (ひなせ) 焦げた呼吸をインストールして世界を狭めよう (モヴ) 鮮血燦然と笑顔は映え、わたしは彼とキスをした。 (終琉) あゝ、この世の桜花よ、謳歌せよ (詩緒) たぶん何かと引き換えの季節で (千春橙) 夜に生きる最期をゆめゆめ忘れぬように (夜) スノードームの真夜中にわたしの醜態ぜんぶ入れたげる (野中) あらあらまあまあ、逆さ睫毛しちゃったの? (ざらめ) そんな双眸じゃもう一生捕まえらんないね (ひなせ) 指先から剥がされる夜に窒息 (モヴ) ね?もう僕のことは愛せないでしょ。 (終琉) 清楚な檻で可憐に鳴いて御覧 (詩緒) カーテン越しなら従順な獣さ (千春橙) 敬虔なこどもたちは白いシーツにくるまり秘め事を明かすだろう (夜) 「楽しかった」顔を綻ばせながら、子どもは斜陽にとけていった (野中) |